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Vol.1 青柳裕介先生追悼原画展
”土佐の一本釣りのまち”
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探検日 H.13.12.4 PM2:00〜3:00
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冬の短い日差しが早くも傾きかけた午後、青柳裕介先生の追悼原画展が催されていると聞きつけた探検隊は、蔵造りの美術館へと足早に向かった。献花に囲まれた入り口を抜けると、ちょうどRKCの取材班とすれ違う。
館内に目を向けると、展示室の壁全面が黒布で覆われ、整然と並べた原稿を引き立たせていた。ものものしさに一瞬息をのんだ我々だが、原画の前に立つとすぐに、荒々しくも懐かしさに満ちた青柳ワールドへと迷い込んでいった…
中土佐町の名を全国に知らしめた『土佐の一本釣り』第1回の第1ページ目から、展示が始まっている。その、冒頭シーンの描写の緻密さに驚き、作品にすぐ引き込まれそうになるが、読み進もうとすると早くも次は別の場面。そう、作品中の、特に中土佐の風景を描いた原稿が多く集められているのだ。
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原画展開催中の中土佐町立美術館
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久礼に来てまだ日の浅い自分でさえ、見覚えのある駅の周辺や、大正町のアーケードにはリアリティを感じるのだから、生まれた時からこの地で暮らす人々には、この作品はそのまま自分自身のアルバムを見ているような感覚で受け入れられるのではないだろうか。
カツオ船、海沿いの路地、八幡様の境内…間近で見ると、様々なテクニックを用い、幾重にも描き、塗り重ねられたペンの跡が、作者の、この地への並々ならぬ愛着を如実に物語る。

現在の久礼漁港
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背景の重厚さとコントラストをなすキャラクター、主人公の純平や漁師のおっちゃんたちのコミカルな動きもまた、モデルとなった多くの人々を見つめる青柳氏の温かで真摯な視線を感じさせるに十分である。
やんちゃさの残る純平が、一人前の漁師として成長し、八千代と夫婦になり、父親になっていく過程は、断片的な展示内容からも窺い知ることができる。同時に、開発により久礼の港の様相が変貌していく様も、背景を注意深く見ていくとわかるのである(久礼育ちのI隊長の鋭い観察眼は、それを見逃すことはなかった)。
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入り口から一瞥した限りでは一部屋と見えた展示スペースは、奥の部屋にも続いていて、我々ちょこっと探検隊の肝を冷やした。見入っているうちに、予想外に時間が過ぎていた。しかし、そこにいくまでにはさらに物語の見せ場、カツオの一本釣りのシーンの原画が何枚となく控えているのである。仕事の片手間に鑑賞するような展示ではないことを思い知らされる。
群れなす魚、カツオだけではない様々な黒潮の魚たちの質感、躍動感。漁師が釣り上げる場面を、海面から海坊主のように見ていたのではないかと疑うような臨場感は、ただもう溜息であった。
別室に入ると、コミックスの表紙絵やイベントなどで使われたカラーイラストやカットが、壁一面に並んでいる。黒インクの本編とはまた違った魅力の作品群である。
そこを出ると、青柳氏自身の記録である写真が、これまた壁一面に貼られている。純平と同じ、いたずらっ子のような目が印象深い。
こたつにみかん、電話機に人形という心和む一角があると思えば、それは氏の仕事場の再現のようであった。 思わず手を伸ばしそうになるほど近くで見ることのできる道具類。何気なく席を立ったつかの間の休憩時間に上がりこんでしまったような錯覚にとらわれる。インクがついたまま、筆立てで主を待つ竹ペンやGペンが、寂寥感をさそう。
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純平・八千代が描かれた、町入り口の看板
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一枚の紙の上に、ただ黒と灰色だけで海の男たち・女たちの逞しさ、息吹を描ききった作者の情熱は、ガラスの額を突き抜けるように、見るものの心を揺さぶる。中土佐町に住まう方も、海から遠い街に暮らす方も、また、漫画をお読みになったことのない方もぜひ一度、純平・八千代に会いにいらしてはいかがでしょうか。 (C隊員)
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